心が整った状態とは、身体を基準にしてみるとどんな状態なのでしょうか・・・・
それは・・・
一言で言うと「自律神経系」が整った状態といえます。
自律神経ってよく聞く言葉ですが、実際のところキチンと理解している人は案外少ないようですので、ここで少し解説しますね。
自律神経系は、内臓系を含む身体の全ての基本機能を司っているものであり、自動的に機能しているものです。生存反応の源ともいえる生命活動の中心的部分ですから、普通の人は、思考ではコントロール出来ません。皆さんは、心臓を止めたり、温度と関係なく自在に汗をかいたり、ひっこめたりできないですよね。
これは、自律神経系がまさしく「自律」しているからに他なりません。
自律神経系は、交感神経系と副交感神経系の2つに分かれていて、主な機能は以下の通りです。
注)副交感神経には実質2種類の全く異なる機能がありますが、ここでは簡易モデルを示すのみとします。
★交感神経系:
瞳孔を広げる、唾液の分泌を止める、心拍を早くする、消化器系の運動・分泌を妨げる
★副交感神経系:
瞳孔を収縮させる、唾液の分泌を促す、心拍を遅くする、消化管系の運動・分泌を促す
詳細は下表参照
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何か危険なことが自分の身に降りかかった時、心がしなやかな人は、一体どんな神経系の反応を示すのでしょうか?
平常な状態では、交感神経系がラクな範囲で緊張を促し、副交感神経系がラクにそれを解放していきます。これがリズムよく交互に行われることで、平静が保たれています。
ここで、なにか危険なことが起こったら・・・・
まず副交感神経系がブレーキを外し、それによって交感神経が覚醒を高めて、危険だと判断したモノに対していつでも反応できるようにします。この高められた覚醒は、「闘争/逃走反応」と呼ばれます。
適切に出来事に適切に対応したあとは、緊張で高まったエネルギーを解放し、再び交感神経系と副交感神経系がバランスよく機能しはじめます。
つまり、心がしなやかな人とは、自律神経系の「ON」と「OFF」がちゃんと機能している人とも言えます。怒るべきところはキチンと怒り、対応が終わったらすぐに平常心に戻れるということです。
しかし、このように上手く反応出来ない場合、そこにはトラウマが潜んでいることが多々あります。例えばいつまでも怒りが収まらない、不安が拭い去れない、出来事が頭から離れないなど反応は様々です。
トラウマ反応は、自律神経系が正常に機能しなくなった状態とも言えます。
では、トラウマとは一体何なのでしょうか。 詳しくはこちら
※交感神経系と副交感神経系の比較の表
副交感神経系 | 交感神経系 |
副交感神経系は休息を促す。脅威やストレスが過ぎた後に我々が身体をゆるめ、立て直し、再生するのを促す。 ●筋緊張のゆるみを促す ●心拍と血圧を上げる。 ●皮膚を温め、赤みを取り戻す。 ●消化を促す。体液を分泌する。 ●呼吸を遅くし、深める。 ●血液を抹消血管に戻す ●免疫系統の機能を完全に回復する。 トラウマは副交感神経系が常に作動している状態を作り出すことがある。それによって、エネルギーを解放する代わりに、交感神経系の過覚醒と副交感神経系の活動停止状態が同時に引き起こされる。 |
交感神経系は身体全体をいつでも活動できる状態へもっていく。交感神経系は覚醒を調整し、ストレスや覚醒が生じた際に、善し悪しに関わらず、活動を増進させる。交感神経は我々が警戒したり、興奮したり、身体活動に従事している時に活発になる。交感神経は以下のような活動によって、我々が緊急事態に対処できるように備える。 ●心拍数、呼吸数、血圧をあげる ●血液を消化器系から筋肉に移し、素早い動きを可能にする。 ●血管を収縮させ、怪我の可能性に備えて皮膚の表面から血液を引かせる(皮膚が青白く、冷たくなる) ●瞳孔を拡げ、まぶたを縮めて目を集中させる。 トラウマは交感神経系の慢性的な過覚醒を作り出すことがある。それによって生理機能が、現在でも危険が継続中であるかのような反応を示す。
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副交感神経系は神経系のブレーキのような役割をする。それは私たちがリラックスし、緊張をほぐし、最終的には交感神経の活性化による覚醒の解放を促進する。 | 交感神経系は、神経系のアクセルのような役割をする。私たちのあらゆる行動のためのエネルギーを与え、脅威に対処できるようにする。 |
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