昔の自分を肯定できない人にこそ言いたい・・「大人のあなたを支えてくれるのは、子どもの時のあなた」

なにひとつ昔の自分を肯定できなかったけど、
ひとつだけ昔の自分が今の私を助けてくれた出来事がありました。

この言葉をご存知でしょうか?

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『子どもたちよ』
子ども時代を しっかりと
たのしんで ください。
おとなになってから
老人に なってから
あなたを 支えてくれるのは
子ども時代の 「あなた」 です。

石井 桃子               
================

児童文学作家、石井桃子さんの言葉です。
ある相談者さんが教えてくれました。

誰にでもこの言葉に通ずる出来事を体験したことがひとつやふたつ、人によってはもっとたくさんあるのではないでしょうか?

私もそのひとりです。

8歳の私は、とにかく退屈でした。 学校には友達もいなくて、男の子にはいじめられるし、授業も退屈。
家に帰っても誰もいない。夜8時までは子ども向けのアニメを観ることができますが、 それ以降はやることもなく、食べるものもなく、一人で過ごします。親はいつ帰ってくるのか、今日はたして帰ってくるのか・・それさえもわからない。

心細くて怖いし、寂しい。

あまりにも寂しいときは、駅まで行きました。 夜の道は怖いけど、一人で家にいると気が狂いそうになるから、つい駅まで行ってしまう。お父さんかお母さんが帰ってくるかも・・という淡い期待もありました。

当時は今ほどうるさくない時代ですから、8歳の子どもが夜ウロウロしていても、駅員さんは静かに見守ってくれます。
話しかけてくれる人もいて、それは案外楽しい時間でした。

ですが、ずっといると、やっぱり邪魔になってしまうので、とぼとぼと家に帰ります。

もしかして、お母さん帰ってきているかも・・と淡い期待をしますが、ドアを開けても誰もいない。
夜中になっても誰も帰ってこない。

毎日のようにこんな日が続いたのですが、ある日、なぜかどうしょうもない寂しさに襲われて、自分で全くコントロールできなくなってしまったことがありました。

いつも放置されていたので、それまで自分は寂しいという自覚がなかったのですが、多分その時どういうわけか、ふと自分の中にあるとてつもない寂しさに気づいてしまったのだと思います。

この状態をどうしていいかわからなくて、「助けて!」と大声で叫んだり、力の限り暴れまくったりしたのですが、何をどうやっても、何も起こりません。

私が叫んだり暴れたりするのをやめると、また部屋に静寂が戻るだけです。

きっと今私が死んでも誰も気づかないんだろうな…そう思うと、とてつもない恐怖が襲ってきました。

寂しい…寂しい…
怖い! 怖い!
寂しい…寂しい…

こんな感情ばかりが、ずーっと頭をぐるぐる巡ります。

ですが、ずーっとぐるぐるしていると、だんだん集中力が続かなくなって、ふっと我にかえる瞬間があります。 その瞬間は少し落ち着くのですが、でもすぐにやっぱり怖い・・と恐怖が襲ってきて、 わーっとどうしょうもなくなります。

そんな状態を何度も何度も行ったり来たりして、その寂しさや恐怖がピークに達した時、「あれっ?」と何かが変化しました。
ふっと何かが軽くなったんです。
寂しさも怖さもどこかに消えて、解放された安堵感が広がりました。

で、次に思ったのが、「馬鹿らしいな。今まで何だったんだんだろう。何であんなに寂しかったのだろう」ってことでした。
本当に馬鹿らしいくらい軽くなりました。

そしてこのとき体感で感じ取ったのは、
「人生は受けて立つしかない」
ということでした。

当時8歳ですから、人生とか、受けて立つとか、そんな言葉はわかりません。
でも、この時の感覚を今あえて、言葉にするとこうなります。

「人生は受けて立つしかない」

拗ねても、叫んでも、何しても、何かにすがろうともがいているときは、私の恐怖や寂しさはどうすることもできないけど、これって自分でなんとかできるし、そもそも自分ですることなんじゃないか…そんなふうに思いました。

「なぜ私を助けてくれなの?」それまでこんな言葉と共に、いつ心の中で私の思い通りに動いてくれない両親を罰していたのですが、期待しても無駄なんだと理解しました。

この日を境に、いつも暗く閉ざしていた私の心は、少し明るさを感じることができるようになりました。 何か自分の中に軸ができた感じが芽生えたのです。

私はこの時の体験を、感情を感じきった体験だと、勝手に認識しております。

この体験は、8歳の私が一人で乗り越えた、私にとっては目から鱗のすごい発見なのですが、この体験を誰に話しても「寂しかったんだね」と同情しかされなくて伝わらないなーと感じることがほとんどです。

この時の小さな8歳の私は、今でも大人の私を救ってくれます。 今、当時のように寂しいと激しく感じることは皆無ですが、何かに追い込まれた時は、あの時に掴んだ突破する感覚を思い出します。

今までの人生を振り返ってみれば、寂しさのピークはあの8歳の夜だったのでしょうね。

今一人になると、ホッとした安堵感しかありません。 静寂の中で耳を澄ませば、ゆっくり自分と対話できるからです。

なので、今はどちらかといえば、孤独を求める旅をしているのですが、孤独を求めて気づいたことは、この現代、完璧に孤独になれる場所は皆無だということです。

完璧な孤独を探して北の果て北極圏まで行ったのに、日本人だーと話しかけられたり、職を失いわずかな失業保険につられてハローワークに行けば職業を斡旋され、社会はひとりでいつづけることを許してくれません。

「おとなになってからのあなたを支えてくれるのは、子ども時代のあなたです」

この言葉は本当にその通りだと実感します。

そしてその子ども時代は、素敵な両親に育まれスクスク育った明るく楽しい過去である必要はありません。
もちろん何にも縛られず自由に振る舞っていた子ども時代は貴重です。
自由な感性で選び取ったものは、生涯あなたに喜びを与え続けてくれるでしょう。

ですが、かつての逆境体験はそれに匹敵するくらい貴重で、それは今のあなたを支えてくれます。

かつて困難の中にあり、今あなたが生きているのであれば、なにかしら逆境をくぐり抜け生き延びた体験があるはず。

最低な人生だと思ったとしても、今こうやって生きてきているのであれば、今のあなたを支えてくれる子どものあなたが必ずいるはずです。

よかったら、探してみてください。

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