「カウンセリングにも好転反応はあるのでしょうか?」
ある相談者さんからご質問です。
マッサージなどで好転反応が起きるのは、施術を受けて体が正常な状態に戻ろうとする過程で、滞った血流が改善し、老廃物や疲労物質が一気に排出されて体に急激な変化が起こるからです。体のバランスが崩れている場合、一部位のバランスを正常に戻すことで、他の部位のバランスに一時的な影響が出てしまうこともあります。
心も同じで、急激に健全に戻ろうとする過程で、滞っていたものが噴出して、 悪化したように感じたり、今まで悪い状態でバランスを保っていたものが、 一部良くなるとバランスを崩すと、元の悪循環に戻ろうとします。
たとえば、以下のようなことが起こります。
①一次的に感情が不安定になって、カウンセリングがつらくなる
カウンセリングが進むと、今まで目を背けてきた見たくない部分に直面せざるを得ない場面が出てきます。 その結果、変わりたいのに変わりたくないという、矛盾した気持ちを抱えることになります。 これは心理学用語で「抵抗」と言われている状態です。
②今までの人間関係が変わる
たとえば、相談者さんが自分を犠牲にし相手に一方的に満足感を与えることで成り立っている関係だった場合、本来の自分を取り戻すに従って、その関係を維持することが困難になっていきます。 ほとんどの人間関係が自己犠牲で成り立っていたなんてこともよくあることで、そんな場合は、一時的に周りから人が去っていくという体験をするかもしれません。 ここで混乱し、元の人間関係に戻りたくなるかもしれませんが、不要な人間関係を整理することで、新たな人間関係はやっていますから、一時的に過去の人間関係を手放すことはとても大事になってきます。
③カウンセラーに対して、怒りや憎しみ、過度な愛着の気持ちを持つ
これは「感情転移」と呼ばれる状態です。多くの場合、目の前のカウンセラーに向けた感情ではなく、相談者の心の中にある未解決の感情が炙り出される過程で起こるものです。
たとえば、相談者が、カウセラーにイライラをぶつけられたと感じて、カウンセラーに怒りを感じる。でも実際には、カウンセラーはいつも通り接しているだけ。
このとき相談者の心の中で起こっていることは、「自分はイライラを感じてはいけない」という、自分の中の怒りの抑圧です。 例えば、カウンセリングで上司に理不尽な扱いを受けたという話題になったとき、相談者は「怒ってはいけない」と思っているので、怒りを表現できない。でも怒りを抱え続けるのはつらい。 こんなときに「感情転移」は起こります。
カウンセラーがイライラしているように見えるのです。そして次に、「カウンセラーがイライラしていることに対して、自分は怒っていい」と自分に対して怒りの許可が出ます。
そうやって、相手に自分の怒りを投影し、怒りを出すということをします。
④一時的に体調を崩す
心と体は繋がっていますから、心のバランスが崩れたものは体の症状として現れることがあります。 怒りが解放させる過程で実際に体の緊張も解けますから、下痢になったり、血管や筋肉が緩むことで滞っていた毒素が体をめぐりやすくなり、倦怠感や疲労感などが出ることもあります。
このような好転反応はすべて回復していくためのプロセスですから、前に進むためにはある程度は必要なことでもあります。 ただ、好転班のではなく、実は悪化したのでは?と不安になることもありますよね。
好転反応と単なる悪化との見分け方は、期間です。 好転反応は比較的短く、数日とか数週間とか、トラウマの状態などによって様々ですが・・ 基本的に何年も同じ症状に留まるということはありません。 つらさを感じ切るとなくなったり、別のところに症状が移ったりして、流動的です。
それに対して悪化は、何年も悩んできた状態がさらに悪くなるということですから、長い期間そのつらさに留まり続けます。
好転反応はある程度覚悟しておいた方がいいとはいえ、できる限り軽くしていきたいですよね。 そのためには、回避ではなく、感じきったり、じっくり症状を味わうことも大事です。
感じ切り、味わい尽くすと、嫌な感情は消えていきます。
ただ、一時的につらくなることは確かですから、無理せず休みながら少しずつ向き合って安全に進めていくことも大切です。
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