前回ご紹介した「闘争逃走反応」は、多重迷走神経理論を理解する上でもとても大切な考え方となります。
では多重迷走神経理論とは、どのようなものなのでしょうか?
かなりザックリいうと・・・
『自律神経システムについての新しい考え方』です。
この自律神経システムを、動物が出来事に遭遇したときの3つの反応段階に分けて説明してみます。
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あなたは、今、サバンナにいるシマウマになったと想像してみてください。
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【第一段階】
オアシスの近くで仲間とゆったりと草を食べています。
「平和だ」 ~( ̄▽ ̄)~ と感じています。
すると、遠くからライオンが走ってくるのに気づきました。
【第二段階】
あなたは「どきっ!」 \(◎o◎)/! とします。
脳の中では・・・
偏桃体という部分が臓器や筋肉に警告を鳴らします。身体全体が「闘う」か「逃げる」かの行動を準備します。
この時、ストレスホルモンであるアドレナリンとコルチゾールも分泌され、身体全体が活性化した状態になります。
これが 『闘争逃走反応』 です。
で・・・ 頑張って逃げる ・・・
上手く逃げおおせれば、第一段階に戻りますが・・
「うわっ! もうだめだ!」 (@_@) となると、第三段階に進みます。
【第三段階】
ここでやることはひとつ・・・
固まる (‘ω’)
死への準備をするのです。ガブっと噛まれても痛くないように自分に麻酔をかけるようなものです。
哀しいです(T_T) しかし、大切なシステムでもあります。これは「凍りつき反応」とも言います。
この「凍りつき反応」が起こっているとき、シマウマは単に寝ているのではありません。
ではいったい、シマウマの身体の中ではどんなことが起こっているのでしょうか。
シマウマは完全に停止しているように見えますが、身体に張り巡らされた神経系は今なお、110キロのスピードで猛回転しています。このとき体内で起きていることは、アクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態に似ています。第二段階で発生したエネルギーや分泌物を体のあちこちに溜めたまま、凍り付いている状態です。そして、内部の高速回転する神経系(エンジン)と外部の身体硬直(ブレーキ)は、身体内に竜巻に似た強い混乱状態を作り出します。
そして、この竜巻状のエネルギーこそが、トラウマ症状を形成する中心です。
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